元々僕自身はナチュラルワインは否定派で
フランスに行った時も始めはナチュラルワインを勉強しようというのではなく
収穫期をロワールで過ごした後はボルドー、ブルゴーニュを回って
偉大な産地を見て帰って来ようというプランでした。
僕がワイン勉強し始めた時は
ナチュラルワインではなく
ビオワインと言われていて
ビオはビオ臭がすると言われていて。
多少ネガティブな要素があっても
「自然だからしょうがない」と肯定しているように見えてたりとかして。
僕も実際フランスに行く前に日本で”ビオワイン”を飲んだことがありましたが
その時はほとんど美味しいと思った記憶はなかったです。
その後現地で生産者達と触れていく中でどんどん考えが塗り替えられていくのですが・・
生産者との出会いや、ワインの味わい以外で
ショックを受けたことが二つありました。
それは、機械収穫と酸化防止剤(so2)
今現在では改善されていることも色々あると思うし
今回はあくまで僕の経験と主観でのお話なので
その2つを悪者にするつもりはないのですが
なかなかにショックを受けたので今回はそのことについて書いて行こうと思います。
まず機械収穫についてですが、このコラムを書くにあたって色々検索してみたのですが
機械収穫には機械収穫のメリットや新しい機械の導入によってどんどん進歩しているようなのですが
僕が実際見た限りの話をすると
2011年の秋ごろ僕はロワール地方のドメーヌ・デ・ボワルカでの住み込みでの手伝いとして畑に出ていました。
ボワルカでの収穫はもちろん手による収穫。
葡萄の表面についている酵母を拭ってしまわないようどんなに寒くても手袋はしません。
そんな中、すぐ近くの畑に大きな機械が入って行って、葡萄の収穫をしているようでした。
その機械は葡萄の畝をゆさゆさと揺らして葡萄を取っており
その後タンクに移し替えられる葡萄は既に
ほとんど潰れてほぼジュースの状態でした。
一方手収穫は収穫かごにドメーヌのスタッフや収穫の季節労働者たちが(初心者の僕からするとかなりのスピードで、めちゃくちゃ丁寧には見えなかったけどw)葡萄を積んでいくのですが
葡萄は当然ですが潰れておらずきれいな状態。
収穫のかごも、葡萄の重さでつぶれてしまわない様な大きすぎないサイズでの収穫(それでも十分重いし、かなり過酷でしたが)
畑の時点で葡萄がつぶれてしまうと
その時点でジュースの酸化が始まってしまいます。
当然その時点で酸化防止剤を使用するのだと思うのですが
その光景の差にショックを受けたのを覚えています。
もちろん機械収穫でも”おいしい”ワインは出来るのでしょうが
どっちを飲みたいか?
と聞かれたら、手摘みのワインが飲みたいと思うなあ
と、考えたのを覚えています。
また、ワイン造りで欠かせないとされてきた酸化防止剤(so2)
(現在では無添加で造れる生産者増えてきましたね・・!当時は全生産ワインを無添加で造っている生産者って数えられるくらいだったのでは・・)
ボワルカでポリタンクに入った、希釈されたso2があり
オーナーの順子さんに「嗅いでみたら?」
と言われ顔を近づけたとたん
あまりの刺激臭(臭いというか、もっと直接的な刺激)に
5分くらいむせてしまいました。
もちろん添加する際は健康に害がない量の使用となるのですが
僕はあまりにショックで
「これは少ないに越したことはない・・・」
と思いました。
実際今でも全く無添加の物と少量でも添加したものだと
ワインの骨格がかなり変わるなあという印象です。
(添加してても僕が良いなあと思うものももちろんありますが)
それぐらいワインに強い影響を与えるモノだと僕は考えています。
今回は僕の経験を記憶をもとに書いているので
うまく纏められない気がしますが・・・
『ワイン造り』という意味では一緒の作業なのですが
生産者さんが何を選択するかによって、ワインの内容は全く別のモノになるという事。
最終的に『おいしければいいじゃん!』
と言ってしまえばそうですし、人それぞれ味覚や価値観は違うのでどれかを否定するつもりはないのですが
僕の主観の中で、自分が飲みたいのは何か。
人に勧めたいのは何か。
というのを、お伝え出来たらなと今回の項目は書きました。
長文駄文失礼しました。
(また何か思いついたら)その4に続く〜
あ、ちなみに
酸化防止剤の話をすると
「コンビニやスーパーで売っている酸化防止剤無添加ワインはどうなの?」
という質問をいただく事があるのですが
それに関してはラベルの原材料名の所に
「原材料名:濃縮還元葡萄果汁(外国産)」
という風に書いてあります。
僕の解釈では「酸化防止剤を無添加にする以外は、色々やってます!」
的な感じの飲み物。
モノの良し悪しはさておき
僕の中ではあれはワインではありません。。