説明
◇インポーターコメント
ブノワにとって、手掛ける畑の面積のほとんどが黒ブドウのガメイで、白ブドウのシャルドネが植わる畑はごくわずかです。なのでブノワの白ワインは、毎年思う存分買えるというわけにはいきません。
ブノワの手掛ける白ワインを初めて飲んだのは、以前ご紹介したマセラシオン(醸し)したシャルドネで造られたラ クレ デ ソル NV(2018)とヴァンジョーヌのように造ったロキシダピフでした。
ある意味、スタンダードな白ワインを飲んだことがなかったのですが、今回ご紹介する2019年のワインは、マセラシオン(醸し)も酸化的な環境での熟成も行っていない、 スタンダードな白ワインです。
「昨年と全く違うだろ。毎年同じようなものを作るのもつまんなくてね。みんなあれが好き!もうないのか!?もう作らないのか?とか聞かれるけど。」
と、アーティストであるブノワらしいコメント。
実際ヴァイオリンやギターを操って音楽を奏でるブノワは、その即興性、インプロビゼーションをワインでも実践しているのだと思います。そして、それがまた、あらたなワクワクを生み出してくるのが、音楽(なかでもライヴ)そのものだと感じます。
そしてこのワインのリリースを春まで我慢?するの暗示していたのは、そのキュヴェ名。エヴェイユ フローラルは、「花のような目覚め」といった意味で、暖かな気温と長くなる日照時間で花々が咲き始めるこの季節にぴったりの名前です。
花の蜜を思わせる風味といきいきとボリュームのある果実味を感じるこのワインは、抜栓後の時間の経過と共に内側から膨大なミネラル感が溢れ出て、凛とした佇まいへと姿を変えていきます。
暑い夏に見舞われた年のこの地方の白ワイン(特に亜硫酸無添加)に見られるような、スモーキーさというか、ざらっとした感覚はなく、要素は多いもののびしっと1本筋が通っています。
現時点でも雰囲気のあるワインで、飲みすすめるのに抵抗はありませんが、かなりのポテンシャルを秘めたワインだとも感じるので、さっさと飲み干してしまうのは勿体ないと感じます。
瓶詰めに至るまで亜硫酸無添加で揮発酸や還元のニュアンスもなく、抜栓後1週間以上も厚みとみずみずしさは失われません。